護国寺前交番
東京都文京区大塚5-40-7
東大寺の大屋根の両側に見える、括弧でくくったような飾りを鴟尾(しび)という。しゃちほこがはやる前の古い屋根飾りの形式だ。警視庁大塚警察署護国寺前交番を正面から見ると、左手の壁から屋根に掛けての弧を描いた意匠が鴟尾のように見える。
重要文化財に指定されている護国寺本堂は、江戸時代のものなので鴟尾は乗っていないけれど、迫力のある大屋根が建築家に東大寺や唐招提寺のそれを連想させたのかもしれない。
と思っていたら、実際には梵鐘をケーキのように切ったイメージであるらしい。確かに背面はドームを切取ったような曲線を描き、緑青が吹いた鐘のような色をしている。
護国寺の仁王門からふり返ってみたら、兜の後ろ姿のようにも見えた。国を護る寺を守っている弁慶のようだ。
竣工:1986年3月。