2007年6月10日(日)

堀切菖蒲園

東京都葛飾区堀切2-19-1

菖蒲園

伊勢物語の八橋の話や、尾形光琳の金屏風「燕子花図(かきつばたず)」のイメージから、菖蒲園を訪れると何とも言えない雅な気分になる。高貴な紫を身にまとい背筋をピンと伸した姿は、暗い梅雨空を吹飛ばす、華やかで清々しい気品に満ちている。

とは言っても昔から有名なのはカキツバタで、菖蒲園で見るハナショウブは、ノハナショウブの園芸種として江戸時代以降に品種改良が進み、盛んに植えられるようになったものだ。

カメラマン

今では「いずれがアヤメかカキツバタ」といわれた本家のお株を奪って、ハナショウブが人気を独り占めしている観がある。

葛飾の堀切周辺には、江戸時代後期から大正時代にかけていくつもの菖蒲園が開園し、大勢の観光客でにぎわったという。安藤広重らの浮世絵や、往時を偲ぶセピア色の絵はがきが残されている。しかし、今に残る菖蒲園はただ一つになってしまった。

今日は昼前から土砂降りの大雨になったが、愛好家達は悪天をものともせずに続々とやって来る。約200種6,000株といわれるハナショウブは満開で、みな一様にため息をついて見入っていた。

葛飾区教育委員会の説明板