2007年6月30日(土)

ひばりのマンホール

東京都府中市

ひばり

The lark's on the wing; (中略) All's right with the world!

揚雲雀なのりいで、(中略) すべて世は事も無し。

Pippa's Song(Robert Browning)、「春の朝(あした)」(『海潮音』所収)

カラー

上田敏の名訳で有名なこの詩を初めて聞いたとき、子供の頃に遊んだ多摩川の河原や周囲のレンゲ畑の景色がフラッシュバックとなって目の前に浮んできた。

その頃はそれがヒバリだとは知らなかったが、空の高みでさえずる鳥たちに見守られ、何の憂いもなく遊んでいられた幸せな空間が昔の多摩川にはあった。その範囲は年々小さくなっているけれど、今でもそれは川沿いの随所に残っている。

ヒバリが描かれたマンホールに出会い、俯いていた顔を上げて空を見る。多摩川の土手に寝ころんで仰ぐのとおんなじ青い空が、都会の憂いを忘れさせてくれる気がした。