象小屋の跡
東京都中野区本町2-32-4 (朝日が丘公園)
夏休みになって、子供たちが野に山に飛出していく。彼らは、網を持って虫や魚を捕まえるのに余念がない。わたしも昔はそうしてたくさんの小動物を家に持ち帰って、飼い方もわからずに死なせてしまうことが多かった。
子供たちに限らず、珍獣をペットにしても長続きせず、やがて面倒を見なくなる大人も少なくない。食べるためであれば食物連鎖の一環として説明もつくけれど、ただ珍しいから楽しいからと生き物たちを捕えて良いものだろうか。死なずに飼われ続けたとしても、人間でいえば刑務所に終身刑で収監されているに等しい孤独を、彼らはどうやり過しているのだろうか。
「もしも自分が…」と考えると、最近は金魚鉢の金魚を見るのも辛くなってきた。
中野区に、江戸時代にベトナムから日本に連れてこられた象を飼っていた小屋(象厩)の跡がある。飼育動物に対するメンタルケアはおろか、正しい生態も知られていなかった昔、長崎から江戸まで歩いてきて、見世物にされた上にもてあまされて短い一生を閉じた象のことを思うと胸が痛む。