2007年7月28日(土)

井之頭弁財天道標

東京都杉並区上高井戸1-23

井之頭弁財天道標

子供の頃は地図が頭に入っていなかったので、京王線と井の頭線は十文字に交差しているものと思っていた。だから、少し大きくなって入ってくる情報が増え、新宿と渋谷が山手線で3駅の近さにあるのに中央線で新宿から吉祥寺まではかなりある(まだ何駅かは知らなかった)ことや、調布から吉祥寺行のバスが出ていることを知ったときにはかなり混乱した。

地図がわかるようになった今でも、烏山から北へ行くとすぐに久我山に出るのが不思議で、通るたびに秘密の近道を発見したような気分になっている。

世田谷区を通過するあいだ新道と旧道に別れていた甲州街道が、杉並区に入って環八の手前で合流する地点の近くに、井之頭弁天を案内する道標を見つけた。天保十四年(1843)に建てられたもので、「是ヨリ一里半」と書かれた文字が半分アスファルトに埋れている。頭部に彫られた、とぐろを巻いて舌をチロチロと出した蛇がリアルで妖しい。

ここから北へ延びる道は判然としないが、甲州街道を下ってきた旅人はここで折れ、玉川上水の南側を歩いてどこかで人見街道に合流し、今の井の頭公園通を通って弁天様を目指したのだろうか。あるいは現在の富士見ヶ丘駅あたりまでまっすぐに北上して神田川沿いを歩いたか。

とくに説明板もなく詳細は不明だが、今はこの道標を頼る人もなく、人通りもない道の脇にポツンと立っている様子はなんだか寂しそうだった。