2007年7月28日(土)

巣鴨プリズン(旧東京拘置所)跡

東京都豊島区東池袋3-1-6(東池袋中央公園)

平和の碑

テレビ創世記の名作「私は貝になりたい」(1958)を見たときの衝撃は忘れられない(中学か高校の頃、もちろん再放送だった)。捕虜虐待の罪に問われて死刑になったBC級戦犯の物語だ。

公園

「戦犯」と言う言葉は、このドラマを見て初めて知った。極東裁判で死刑を宣告される東条英機の写真は教科書などで見たことがあったけれど、上官に命じられてやむなく戦争に荷担した下級兵卒まで裁かれているとは知らなかった。しかもその一方で、戦争指導者とされるA級戦犯のなかには不起訴になった人もいたと聞いて、やるせない気分になったことを覚えている。

平凡な床屋だった主人公が、「人間なんかに生まれてこなければ良かった。もし生れ変わるなら深い海の底に住む貝になりたい。」という遺書を朗読するラストシーンは、戦争の悲惨は原爆や空襲ばかりではないことを静かに語りかけていた。

池袋の高層ビル・サンシャイン60は、戦犯に対する刑の執行が行われた東京拘置所、通称巣鴨プリズンの跡地に建っている。傍らの公園の片隅に佇む平和の碑の前に立つと、あのフランキー堺のモノローグが静かに甦ってくるような気がした。

碑 文