宇津貫毘沙門天のスダジイ
東京都八王子市みなみ野2-9-1
JR横浜線に八王子みなみ野駅ができて、いつの間にかに10年が経った(平成9年(1997)4月1日開業)。街はまだまだ開発が続いていて、おもちゃのように小綺麗な家が日に日に数を増している。
そんなピカピカの街に、何とも居心地悪そうに古いスダジイの木が残っている。樹齢およそ300年という古木だ。
開発前に来たことはないけれど、まだ横浜線が単線だった頃に通過する車窓から見た景色は、とても東京都内とは思えない鄙びた感じだったように記憶している。その頃の、さらにはもっと遠い江戸時代の記憶を秘めて大きなシイの木は今も元気に枝を伸している。
靴の幅ほどの狭い階段を登って毘沙門天を訪ねると、何世代にもわたる子供たちが遊んだドングリが小さな境内を埋めていた。いまでもこの小さな実を拾い集めに来る子はいるのだろうか。