青梅宿森下
東京都青梅市森下町556(熊野神社)
西へ走る奥多摩街道と青梅街道が合流して、どっちが残るかと思ったら青梅街道が残った。青梅街道は江戸時代から甲州街道の裏街道として利用された古い道で、奥多摩街道が行かない奥多摩を経て山梨県の甲府まで続いている。
映画の看板がならぶシネマチックロードやJR青梅駅前の賑わいを過ぎ、そろそろ青梅宿の西の端というところで道の正面に小さな神社と大きな樫の木が現れた。
ここは江戸時代に陣屋があった跡で、樫の木はその頃からあるという。自転車を置いて、近くをぶらぶらと歩いてみよう。
少し戻ったところに建つ旧家は都の文化財に指定されている旧稲葉家住宅で、腰をかがめても頭をぶつけるぐらい鴨居の低い入口がおもしろい。
稲葉家に並んだ酒屋の脇に「此処に駅有りき」と書かれた碑が建っていた。碑の足もとに「中武馬車鉄道森下駅跡」と彫られている。一緒に建てられた駅名表示は酒屋の宣伝だ。かつてここから狭山の入間までレールが敷かれ、馬が牽く鉄道が走っていたという。今は、JR東青梅駅と西武線入間市駅を結ぶバス路線が、ほぼその跡をたどっているそうだ。