旧・地下鉄丸ノ内線車両
東京都豊島区池袋本町2-9-1 (東京交通短期大学)
丸ノ内線はかっこいい。と言っても今の話ではない。わたしが子供の頃の、車体横に白いラインの入った真っ赤な車両の頃の話だ。ラインの中には波模様が織込まれていて、それが何ともいえず未来っぽかった。
都市交通の花形として颯爽と登場した地下鉄ではあるけれど、一緒に歴史を作ってきた相方の銀座線は芥子色の車体に鉄鋲が浮いた古めかしい車体で、しかも駅に近づくたびに電気が消えるというていたらくだったので、なおさら丸ノ内線のかっこよさが際だっていた。
北池袋の昭和鉄道高校は、校舎(設計:北川原温、2004)の外観が特急列車のようになったユニークな学校だが、その向いにある系列校・東京交通短期大学に昔の丸ノ内線車両が保管されている。学園祭などの機会には公開もされるそうだ。
現役を引退した丸ノ内線車両は、現在、ブエノスアイレスの地下鉄で第二の人生を送っているという。まだシールド工法が開発されていなかった頃の地下鉄は道路の地表から掘っていく開削方式だったので、丸ノ内線は日本の地下鉄の中でも最も浅いところを走っている線のひとつだけれど、地球の裏側へ行って、日本から見れば最も深いところを走る電車になってしまった。