江古田の富士塚
東京都練馬区小竹町1-59-2
国の重要有形民俗文化財に指定されている江古田の富士塚は、駅前の雑踏の中で静かに眠っていた。お正月と山開きおよび九月の例大祭以外は公開されておらず、鬱蒼とした木立に囲まれてその姿も確認できないのはちょっと残念だ。
多くの富士塚は、本家と同様に頂上からの眺めが良く、頂上からご来光や富士山を望めるつくりをしている。この富士も、石神井川と江古田川を分ける高台にあって、昔は多くの人が登拝してその眺望を楽しみ、遠くに富士山の姿を拝んだことだろう。
長い年月の間に木々がその姿を覆って、山自身が神格化されるようになってしまった。拝殿の後ろに奥まって、神秘的な雰囲気を醸している現在の姿は、本来の富士講信仰が過去のものになってしまったことを物語っているように見えた。