中里富士塚
東京都清瀬市中里3-991
清瀬の中里富士塚は、正面に稲妻を描く九十九折りの登山道が印象的だ。同じ名前の練馬の中里富士の登山道が、気を抜くと踏み外しそうな細道だったのとは対照的に、こちらは広くて気楽な山道になっている。
この山には、富士塚に付き物の熔岩(黒ぼく)を一切使っていない。それも安心して登れる理由の一つかもしれない。軟らかい土の道と路肩を支える丸太の感触が、歩きなれた多摩の低山をイメージさせる。
毎年9月1日の山閉いに執り行われる火の花祭りでは、この稲妻に沿ってろうそくの火が灯されるそうだ。本家富士吉田の火祭りに倣って積上げた麦わらに火をつける「お焚き上げ」の豪快さと、つつましく夜空の星のようにちりばめられるろうそくの火の対比がおもしろい。
いつか見てみたいものだ。