穴守稲荷神社
東京都大田区西蒲田6-22-1
お稲荷さんの狐は、なんだかちょっと気味が悪い。神さまのお使いであるにもかかわらず、睨めるような目つきと耳まで裂けた赤い口はどう見ても善玉には見えない。
大きなお稲荷さんには奉納された鳥居が幾重にも連なる参道があるのだが、右も左も真っ赤な異次元空間のような道を進んでいくと、柱の陰からちょろりちょろりと顔を出す狐が「注文の多い料理店(宮沢賢治)」さながらに、「よく塩を体に揉み込んでください」などと言ってきそうでドキドキする。
穴守稲荷にも鳥居の回廊があって、その奥には熔岩のような石を積上げた築山が築かれていた。よく見る日本庭園の築山とは違って、ゴツゴツとした岩山はちょっと怪しい感じがする。穴を守るべき堤防をイメージして作られたのかと思ったが、いかにも狐たちのすみかにふさわしい裏山の雰囲気だ。