丹生神社のスギ
東京都西多摩郡奥多摩町丹三郎182
鳩ノ巣渓谷からの帰り道、吉野街道でも「奥多摩巨樹の里」の標識を見つけた。路地の奥に天を突く大杉が数本見えている。
このあたりには丹三郎という、人の名前のような地名が付いている。中世の豪族武蔵七党のうち、秩父周辺を根拠地としていた丹氏に関係があるらしい。くだんの杉の木は、丹氏の系譜に連なる丹三郎友連が勧請した丹生神社にある。
街道に並行して集落の中を通る道沿いには、板塀の続く大きな家や石仏、水車などがあって良い雰囲気を醸し出している。トラックに追立てられる吉野街道から離れてしばしの休憩だ。
杉の木は特に都や町から天然記念物の指定を受けているわけでもなく、案内を見つけなければこの杉にもこの集落にも立寄ることはなかっただろう。丹氏のことも知らず、道ばたのムクゲを見て優しい気持になることもなく終る今日の日。
こんな偶然の出合いがもたらす小さなさざ波が集ってこのサイトは続いてきた。そう思うとなんだか不思議な気分になる。