2001年11月4日(日)

岡本太郎美術館

神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5(生田緑地)

母の塔

昔、広島美術館でロートレックを見たときに、芝居のポスターが「芸術品」として恭しく飾られているのに「???」と思ったことがある。芸術とは、キャンバスに向かって崇高な思いをもって描くものだと思っていた頃だった。

でも、よくよく考えてみればどんな作品でも同時代には大衆的であり、年月を経て芸術作品と呼ばれるようになるのかも知れない、と最近は思いなおしている。

全景

「芸術は爆発だ!」の名言を残した岡本太郎は、「ラジオ、テレビに見られるように、大量に生産され、ひろく一般の身近にふれるものこそ価値がある」と言って芸術の大衆化をめざした人だった。先の言葉もTVCM(日立マクセル、1981)で有名になったものだし、「グラスの底に顔があってもいいじゃないか!」と言ってウィスキーの景品に作品を提供した例もある(キリンシーグラム、顔のグラスプレゼント、1976)。

生田緑地の奥にある岡本太郎美術館では、芸術作品を堅苦しく鑑賞するのではなく、大阪万博(太陽の塔、1970)やTVCMなどを通して彼と一緒に生きた時代を振り返るのが楽しい。