山の端
東京都西多摩郡奥多摩町
鳩ノ巣渓谷から奥多摩駅に向かう途中、目の前に見える山の稜線が赤く染まっているのがきれいに見えた。杉の植林で全体的に緑の多い山の、なぜ稜線だけに紅葉する木があるのだろう。
山と空の境目の変化を絶妙に表現した枕草子の一節(「やうやうしろくなりゆく 山ぎは(春)」、「夕日のさして山の端いと近こうなりたるに(秋)」)が思い浮かんで来る。
足もとには深く切れ込んだ氷川渓谷。見上げる山の高さが赤い稜線で強調されて、なんだかとっても遠く、深い山奥へ来てしまったような気がする。
写真を撮っていると、真っ赤なもみじのアップとか右も左も朱に染まった景色とか、どうしてもドラマチックな絵を狙ってしまうけれど、こういう感じもしみじみとした秋らしさが感じられて悪くないかなと、ふと思った。