2008年11月29日(土)

氷川つり堀公園

東京都板橋区氷川町21-15

太公望

背中を丸めて、静かに糸を垂れる人がいる。彼らの後ろ姿を見て、わたしは考える。人はなぜ釣りをするのだろうか。

つり堀公園

食べ物を得るためでもなく、激しく暴れる大魚との闘いでもなく、食欲でも征服欲でもない何が釣りによって満たされるのだろうか。釣った魚はしばらく魚籠の中で泳がせておくけれど、家路につくときにはリリースしてしまう。今日は十匹釣れたから良い日だと、星占いを見るような顔をして、仮に釣れなかったとしてもそれほど悲観はしないのだろう。

旧石神井川の流路跡を利用した氷川つり堀公園(無料)では、多くは年配の太公望達が日がな一日座り込んで水面をみつめている。多忙を極めた人生の一時期をやり過ごし、やっと取り戻した自分の「時間」を楽しんでいる彼らには、目的なんか必要ないのかもしれない。