人見街道の庚申塔
東京都杉並区久我山5−9−20
わたしは人見街道が嫌いだ。鶴川街道(※)、津久井道を加えて、武蔵野・多摩最悪三街道と個人的に呼んでいる。
その理由は狭い道に車が集中して走りにくいこと。車道を走ると追い抜けない車が後ろに列をなし、避けたくても歩道が無いか、あっても歩行者すらも歩けないぐらいに狭い。似たような道はほかにもたくさんあるけれど、そういう道はそんなに何度も走らない。それなのに、この三本は昔からの主要道路なのでなかなか避けて通れないのがもどかしい。
たとえば、こんな景色に出会える道でもあるのだ。
左が人見街道、右には「うえみち(馬車みちより高い台地上を通る道)」と書かれた案内板があった。人見街道には昔、馬車が走っていたのだろう。
別れ道に立つ古い庚申塔は、300年近い昔に建てられたままこの場所を動いていないのだという。長い長い間、景色や人々の姿が変わっていく様をずっと見守ってきた。この前に立つと、わたしにもその移ろってきた時の流れが見えるような不思議な気持ちが湧いてくる。人見街道には、そう言う場所がいくつも残っている。
だから、嫌いだと言いながらまた走りに来てしまうのだ。
※ 鶴川街道はその後、新道ができたり拡幅工事が進んで走りにくい部分は減ってきました