等々力渓谷のハクモクレン
東京都世田谷区野毛1-15-16(日本庭園)/等々力2-39-23(ざいもく亭)
等々力渓谷の上下の入口で満開のハクモクレンが咲いている。ちょっと薄暗い渓谷のイメージを、真っ白な花が明るくしてくれる。
上流側はゴルフ橋のたもとにあるざいもく亭。今はお店を閉めているようだが、藁葺屋根の建物の脇にハクモクレンの木がある。♪コブシ咲くあの丘 北国の…あのふるさとへ帰ろうかな、という歌(北国の春)が浮かんでくるような風景だ。(※)
緑の萌えてきた渓谷を抜け不動の滝を過ぎた渓谷の出口に、庭師・飯田十基が昭和48年(1973)に作庭した日本庭園がある。彩りの少ない初春の庭の奥に紫木蓮の鮮やかな色が見えたので中に入ってみると、大きなハクモクレンの木に迎えられた。
満開の花をつけた木の脇を通り、渓谷の斜面を巧みに利用して造った園路を登って行く。頂上の書院前からふり返ると、今過ぎてきたハクモクレンが崖下からすっくと立ち上がってきた。その姿は、無数の白い花を空へと吹き上げているようで、思わず見とれてしまう眺めだった。
※ その後、ざいもく亭は「ざいもく家」に名前を変えて営業中。民家はきれいになりましたが、ハクモクレンの木は伐られてしまったようです。