2009年5月10日(日)

世田谷区民会館

東京都世田谷区世田谷4-21-27

壁面

現代建築はわかりにくい。思想が先に立って難解だ、というのではない。そのたたずまいが普通すぎて素人にはその価値がわからないのだ。

ケヤキ

たとえばそれがレンガ造りの明治建築であったり、特徴ある尖塔を擁したゴシックの聖堂であったりすれば、誰にでも何となく特別なモノらしい感じがする。ところが、先日も解体か保存か話題になった東京中央郵便局のように、言われなければそうとは気づかないのが現代建築の悲しさなのだ。

前川國男が1959年に設計した世田谷区民会館が、隣接する世田谷区役所第一・第二庁舎(1961・1969)と共に今、保存か解体かで揺れている。巨大なダムのように立ちはだかる壁面のダイナミズムや、開放的なピロティを抜けると広がる中庭空間など見所は多いのだが、コンクリート打ちっ放しの建物はかなり傷んでいて、あばたのように残る補修の跡や耐震工事で追加された柱などが痛々しい。

竣工から半世紀を経て、建物を覆うケヤキはずいぶんと大きくなった。半世紀といえば、ちょうどわたしの人生とも重なっている。ふと、密林の奥で朽ちかけているアンコールワット遺跡のイメージがダブってきて、寂しい気持ちになってしまった。