旧東急東横線高島町−桜木町駅間高架下
神奈川県横浜市西区桜木町1〜7
'70〜'80年代に登山をしていた頃、山奥の林道のガードレールに「○○参上!」みたいなスプレーの落書きを見つけるとガッカリしたものだ。山を汚すなよ、という思いもあったけれど、当時のNewYorkでは街中の壁や地下鉄の車体などにカラフルなスプレーペイントをする連中がいて、せめてそいつらみたいにかっこよくやってくれよ、という情けない気持ちもあったのだ。
落書きはれっきとした犯罪行為でありほめられたことではないけれど、NewYorkのペインターのなかにはキース・ヘリング(Keith Haring)のようにメジャーに認められた人もいて、それなりに時代を象徴していたと思う。
日本に上陸したスプレーペイントのメッカとして有名だったのが、東急東横線の高島平駅〜桜木町駅間の高架下だ。16号沿いの壁一面をギャラリーのように埋め尽くしたグラフィティ(graffiti)と呼ばれる絵文字たちは、醜悪かつ華麗で見るものの目を釘付けにしたものだった。
久しぶりに訪れてみると壁はきれいに清掃されていた。2004年に上を走っていた東横線(横浜−桜木町間)が廃止され、高架全体が生気を失っている。一箇所だけ残っているところを見つけたけれど、これもすぐに消されてしまうのだろう。
舗道に飛び散ったかすかなペンキの跡だけが、当時を思い出させてくれるのだった。