2009年8月15日(土)

数 馬

東京都西多摩郡檜原村数馬2465(蛇の湯温泉たから荘)/2612(兜屋旅館)

蛇の湯温泉

久しぶりに見た信号を挟んで兜造りの立派な旅館とおみやげ物屋さんが向かい合っている。駐車場で何組もの自転車乗りが休憩している。蛇の湯温泉と書かれた看板には、「東京最西の里」という枕が付いていた。

兜屋旅館

山奥のどん詰まりということであれば、小さな家がポツリポツリとあるばかりの寒村かと思いきや、何百年も続くという大きな家が居並ぶ景色に驚く。「延元元年(1336)数馬発祥の家」という看板も目についた。中村数馬という南朝の武士がこの里を開いたのだという。

中村数馬なる人は、何を思ってこんな奥地に居を構えることになったのだろうか。離島や山村を訪れるたびに同じ問いを繰り返す。かく言う自分も、長い道のりを自転車で上ってきたではないか。それはなぜ。

いやいや、日帰りのわたしと住みついた人では違うから、と思いつつ、ふと「住んでみるのもおもしろいかも」と心が揺れた自分にビックリする。あたりに漂う、帰りたくない、また来たい、と思わせる心地よさに後ろ髪を引かれながら、下り坂に走り出した。