百番塔
東京都西多摩郡檜原村南郷1160付近
檜原街道を軽快に下っていると、上川乗の交差点の脇に建つ「百番塔」という石塔が目に入った。百度石は見たことがあるが百番塔は初めてだ。スピードが乗っていたのでやり過ごしてしまったが、すぐに京岳バス停手前の石塔群に出会ったので、ちょっと立寄ることにした。
石塔の多い檜原街道沿いのなかでも、ここは大きさも種類もさまざまな、保存状態の良い石塔がたくさん並んでいるので、往路に目を付けていたところだ。廿三夜塔、嶽塔、寒念仏供養塔、馬頭観世音などに並んで、奥の左隅に明和五年(1768)の銘のある百番塔が建っていた。
見間違いではないことはわかったが、さて「百番」とは何だろう。
調べてみると、これは西国三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所、計百ヶ所の霊場を巡礼した人がその記念に建てたものであるらしい。この石を祀ることで、巡礼に行けなかった人も同じ御利益に与れるようにという願いがこめられているという。
この石塔群のように近在の人たちが集まって、楽しく、何度も、諸国巡礼の土産話を聞いたんだろうな。