2009年10月19日(月)

ファルマン通り

埼玉県所沢市金山町/元町/寿町/御幸町

マンホール

昔、近所の男の子が新幹線に乗りたいとせがんで、新横浜から小田原まで一駅だけ家族で乗りに行ったそうだ。さぞ喜んだかと思いきや、彼はなんとも不満そうな顔をして帰ってきた。どうやらオモチャのように新幹線の上に跨って走ることを想像していたらしい、という笑い話。

さすがに時速250kmで走る超特急の屋根には乗れないけれど、彼の気持もよくわかる。新幹線に限らず最近の乗りものは、乗っているというリアル感が少なくなっている感じがするのだ。その最たるものは飛行機で、ジャンボ機の真ん中の列にあたったりすると、景色は見えず揺れもせず、ちょっとうるさい室内(たとえばガード下の飲み屋とか)に居るのと変らない思いをする。

所沢・ファルマン通りのマンホールには、明治44年(1911)に所沢飛行場で初めて飛んだアンリ・ファルマン機が描かれていた。当時の飛行機は、模型飛行機のようにシンプルな機体で操縦席はむき出し。パイロットは全身に風を受け360度のパノラマを眼にして、飛んでいることをリアルに実感することができた。危険もあったけれど、最高の体験だったに違いない。

今、それに近い乗りものといえば自転車。これが映画「E.T.」(スティーヴン・スピルバーグ監督、1982)みたいに飛んだら楽しいのにな、と思いながらびゅわーんと所沢街道を走って帰ってきた。