震災イチョウ
東京都千代田区大手町1-3-4（気象庁）前 大手濠緑地内
春になると天気予報とカレンダーを見比べながら、桜前線の動きにヤキモキする。東京の桜開花宣言は、靖國神社境内にあるソメイヨシノの標本木を気象庁の職員が観測して発表することになっている。ちなみに、今年の開花宣言は3月21日だった。
ほとんど話題にならないけれど、黄葉の標本木が気象庁の向い側のお壕端にひっそりと立っている。幹についた傷が痛々しいこの木は、関東大震災を生き延び、人々に復興への希望を与えたことから震災イチョウと呼ばれている。
今年は11月30日にこの木の黄葉が発表されたが、平年より11日遅れ、観測史上2位タイの遅さだったそうだ。
イチョウの脇には水飲み場があって、皇居のまわりを走るランナーの給水ポイントになっている。震災の後も、また別の意味で、今も苦しい人を優しく見守っている木なのだった。