どんど焼き
東京都府中市押立五丁目先(多摩川緑地押立地区)
それは一瞬のスペクタクルだった。朝8時の点火と共に20m近い火柱が天に昇り、パンパンという竹の破裂する音が轟いたかと思ったら、あっという間に櫓は崩れ落ちて、8時1分には火事の焼け跡のような景色になっていた。
「お餅を焼いて食べましょう」なんていうのどかな雰囲気は微塵もない、その火の威力で世の中の息災をすべて焼き尽くしてしまおうという勢いだった。
しばらくすると、遠巻きにしていた人たちがぞろぞろと焼け残りの焚火のまわりに集まってきた。お餅はないけれど、とりあえず朝の冷気に凍えた体を温めよう。パチパチと竹のはぜる音を聞きながらぼんやりと炎の揺らめきを見ていると、頭の中が空っぽになって、落ち着いた静かな心持ちになってくる。かじかんでいた手足も伸びて良い気持ち。
この幸せな気分が、今年一年続きますように。