2010年4月29日(木)

盆栽苑

東京都立川市緑町(昭和記念公園 日本庭園)

蝦夷松

散歩であちこち訪ねる中に、樹齢何十年何百年という古くて大きな木を見る楽しみがある。その姿形の美しさに感嘆することもさりながら、人間の歴史を超えて生き続ける生命の神秘にも感銘を受ける。

盆栽苑

その対極にあるというか、同類というか、盆栽は不思議な存在だ。左の写真の蝦夷松は、昭和9年(1934)の第一回国風展(今も続く盆栽の展覧会)に出品されたというから、それからでも70年以上経つ。その年月だけでも随分と大きな木になりそうだが、丹精に手入れをされて成長を止められてきた。実際の樹齢は約300年だという。

自然界で樹齢何百年という古木を見ると、数十年の人生なんてちっぽけなものだなぁと思うけれど、何世代もの人の手を経てきた盆栽を前にすると、脈々と続く人間の営為の尊さに胸を打たれる。わたしの人生の中で、父母から受け継ぎ、子供たちへ残していくものってなんだろう。

ところで、盆栽というのは幼木から鉢で育てるのかと思っていたのだが、学芸員の方に聞くところでは、山中あるいは植木畑で何十年と育ったもののなかから適当なものを探してきて手入れをするのだそうだ。陽の当たらない場所で大きくなることもできず苦節何十年という木が、見いだされて鉢に移され脚光を浴びるということか。

色々と考えさせられたひとときだった。