2010年5月2日(日)

国道駅

神奈川県横浜市鶴見区生麦5-12-14

入口

絶句…。としか言いようがない。

JR鶴見線国道駅は、その名の通り国道(15号線、第一京浜)を跨ぐガード下にある。そのガードが、とても駅前とは思えない暗さなのだ。

改札

駅の開業は昭和5年(1930)。ガード下はその日から時が止ったままのように見える。写真に写っている不動産屋は看板だけで、もう何年も営業していない感じだ。その向いにも奥の闇の中(大袈裟ではない)にも廃屋のような建物が並ぶ。「のような」と言うのは、まだ現役のものもあるからで、それがちょっと怖い。

日本中どこもかしこも明るく健康的になってしまった現代に、この暗さは貴重だ。文化財級と言っても過言ではない。このまま開発もされず朽ちもせずに残って欲しい、などと無責任なことを思ってしまう。

黒澤明監督の映画「野良犬」(1949)には、戦後間もない東京の闇市などの情景が織込まれているが、ここ国道駅のガード下でもロケが行われたそうだ。写真を撮りながら、同監督の「天国と地獄」(1963)に描かれた黄金町のスラムが脳裏に浮んだのだが、遠からず関係があったわけだ。