2010年5月2日(日)

海上保安資料館横浜館

神奈川県横浜市中区新港1-2-1

工作船

巡視船しきしまが接岸された横に建つ「工作船展示館」と表示されたかまぼこ形の建物にはいると、赤錆びて穴だらけになった船の舳先が目の前に覆いかぶさるように現れて驚いた。入口左手のモニターには異様な人だかりがして、みな真剣に映像に見入っている。

しきしま

想像していた海の安全を守るかっこいい船の模型や手旗信号の説明などはどこにも無く、かなり緊迫した物々しい雰囲気が漂っている。「工作船」とは工作で作った模型ではなく、北朝鮮の特殊工作船のことなのだ。

ここに展示されている工作船は、平成13年(2001)12月22日、東シナ海で海上保安庁の巡視船と銃撃戦を含む追跡劇を繰り広げた末に自爆して沈没した北朝鮮の船で、覚醒剤密輸に関わっていた疑いがもたれている。沈没により乗員10名は死亡、日本側も3名が負傷した。ここには海底から引上げた工作船と、回収した品々が展示されている。

押収品の中には金日成バッチやハングルの書かれた手帳などの隣に、手榴弾やロケットランチャーなど戦争映画で見るような兵器も並んでいた。拉致問題をはじめとして、北朝鮮に関しては不穏な話をいくつも聞かされてきたけれど、まさかこんなものを積んだ船が近海をうろうろしているなんて思っても見なかった。

GWを楽しむ平和な人々と北朝鮮の脅威。ちょっとワイドショー的な展開かなぁ、と思いながら赤レンガパークをあとにした。