2010年6月11日(金)

目白聖公会

東京都新宿区下落合3-19-4

正面

海外旅行先はもちろん、国内でも一目見て、あぁ異国の建物だなぁ、と思うのは教会建築。天を突くゴシックの尖塔であったり、アーチ窓を飾るステンドグラスなど、意匠の一つ一つが異国情緒と結びついている。

目白聖公会は、昭和4年(1929)に坪井正太郎設計で建てられた和製洋館だが、あきらかに日本の街並みからは浮いて見える。小さいけれど雰囲気のある、ロマネスク様式の建物だ。礼拝堂に飾られている、英国のエピファニー修道院から贈られた1889年製のステンドグラスも素晴らしい。

ところで、聖公会は英国教会の流れを汲んでいるのだが、それについてこんな思い出がある。高校の世界史の授業でのことだ。

英国教会は、ルターやカルヴァンによる宗教革命が起こった16世紀に、同じようにカトリックから別れたキリスト教の一派だ。しかし、カトリックから独立した理由は彼らとは異なり、なんと、英国王・ヘンリー8世が離婚をしたいがために法王に代わって自分を長とする教会をつくったというものだった。カトリックは今も離婚や避妊・堕胎を禁じている。

そのことを習ったときには、「王様というのはなんでもできる身勝手な存在なんだなぁ」と唖然とした。その後の清教徒革命をはじめとする市民革命の歴史を学ぶ中で、難しいことはわからないけれど王制は良くないとぼんやりと意識したきっかけになる事件だった。