2010年6月20日(日)

養沢川

東京都あきる野市養沢103-1(養沢毛鉤専用釣場)

トーマス・ブレークモア

魚が釣れるのは時の運。日がな一日、ぼんやりと釣り糸を垂れて待つ。そんな釣りのイメージを一変させた衝撃の出会い。それが、30年近く前に読んだ開高健の「オーパ!」(集英社文庫)だった。

釣り人

アマゾンの巨大魚と格闘するスペクタクル、フライフィッシングのスリリングな駆け引き、芸術的な毛鉤の造形、などなど。わたしに釣りの趣味はないけれど、世界を回る彼の釣り紀行に、ワクワクしながらずいぶんとつきあわされたものだ。食べない釣り、という考え方も新鮮だった。

今日も養沢川にはたくさんの釣り人が集まっている。秋川本流はアユ、支流の養沢川ではヤマメやニジマスがターゲットだ。

ここには、日本で最初(昭和30年(1955))にできたという毛鉤専用の釣場があって、その筋の人たちにはかなり有名らしい。釣場を開いたトーマス・ブレークモア(Thomas L. Blakemore)氏は、戦後日本を統治していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の法務部に所属していた法律家で、故郷オクラホマの山と渓をこの奥多摩の地に見ていたのかも知れない。養沢毛鉤専用釣場の管理事務所脇に建てられた記念碑から、今も彼は養沢の釣り人たちを見守っている。