小石川植物園の建築
東京都文京区白山3-7-1
小石川植物園には、植物ばかりではなく建物にも見所がある。正門を入ってまず最初に出会うのが、内田祥三の設計になる植物園本館だ(1939年竣工)。
内田祥三は、安田講堂など東京大学構内の多くの建物の設計者で、その特徴的なデザインは「内田ゴシック」と呼ばれている。この建物はスタイルが異なっているが、中央に建つ塔が特徴的だ。ガラス窓の内側にはらせん階段が見えるだけだけれど、いったいどこへ登っていくのだろう。換気のため、階段に沿った窓が開けられているのが、ガラス面にさざ波が立っているようでおもしろい。
日本庭園には、明るく開けた池の畔に、オレンジ色と白に鮮やかに塗り分けられた洋館が建っている。これは明治9年(1876)に建てられた旧東京医学校本館。東大に現存する最古の学校建築として、国の重要文化財に指定されている。設計は東京医学校営繕掛。木造二階建ての擬洋風建築で、オレンジ色の壁はレンガ造りをイメージしているのかな。
東京医学校は東大医学部の前身にあたる学校で、元は本郷の東大構内にあった。昭和44年(1969)にここに移築・保存され、現在は東京大学総合研究博物館小石川分館として使用されている。