東京書籍 工場・東書文庫
東京都北区堀船1-23-31/栄町48-23
バラの花を見ながら都電荒川線沿いを走っていて、王子駅の近くでかわいい建物を見つけた。かまぼこ形の屋根の上に並んだ天窓が、マンガで描かれるカエルの目にそっくりだ。
縦長のアーチ窓や、スクラッチタイル貼りの塀など趣のあるたたずまいだと思ったら、昭和十一年(1936)に建てられた教科書会社の工場だった。向い側に建つ東書文庫は重要文化財を含む約14万点の蔵書・資料を所蔵する教科書図書館で、経済産業省が定める近代化産業遺産にも指定されている。
右の写真の左端に見える守衛所角の曲線のように、随所にアールデコ様式が取り入れられていて、工場とは思えない優美な雰囲気が漂っている。未来を担う子供たちの教科書が、無味乾燥な鉄とガラスばかりの近代工場ではなく、こういう暖かみのある場所で作られていることに、(時代錯誤かもしれないが)なんだか少しホッとした。
※ 工場(写真左)は2016年に解体されました
(北区教育委員会の説明板) 工場・事務棟・守衛所 | 教科書図書館東書文庫