手塚治虫墓所
東京都豊島区巣鴨5-32-2（摠禅寺）
チャップリンの映画「モダン・タイムス」（1936）に、朝起きてから洗顔、歯磨き、朝食までを自動でやってくれる機械が登場する。ところが、便利であるはずの機械が暴走して、チャップリンは散々な目に遭ってしまう。大笑いをしながらも、機械文明の不毛さについて考えさせられる名場面だ。
昔立ち読みした手塚治虫の漫画にも、似たようなシーンがあった。それは、ひとりぼっちの宇宙飛行士が恋人ロボットを使って孤独を紛らわせていたところ、ロボットが抱きついたまま止まってしまい、身動きできなくなってしまうというのだ。その前後の話は忘れてしまったけれど、彼の孤独と絶望を思って戦慄したことを克明に憶えている。
先日の休みにテレビを見ていたら、パワーアシストスーツが紹介されていた。これは人間の骨格と筋肉の代用をしてくれる装置で、これを装着したおじいさんが普通では持ち上げられない米袋を軽々と持ち上げてみせると、テレビの中でも外（我が家）でも「おー」という歓声が上がる。
「でも、ここで急に電源が切れたらどうなるの？」
ふと家族が発したその一言に、かつての戦慄が蘇ってきた。