函館市電
北海道函館市
車社会になって鉄道を利用する人は少なくなり、地方の鉄道路線は次々に廃線の憂き目にあっている。自動車と道路を共有する路面電車も、多くはバスや地下鉄などに置き換えられてしまい、残っているところは少なくなった。
効率や経済面を考えると車に軍配が上がることもあるかもしれないが、車には全く歯が立たない(と思われる)部分が一つある。
絵にならないのだ。
「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンに限らず、一般の旅人でも風景写真の一部に列車をいれて撮る人は多い。例えば左の写真。大正5年(1916)築の相馬株式会社社屋は、もちろんそれだけでも絵になる洋館ではあるけれど、前を走る市電と一緒に撮るとがぜん旅情が湧いて見える。鉄道好きの贔屓目ではないはずだ。
函館の市電には美鈴号(左)やイチヤママル号(右)など、その多くにスポンサーの名前がついている。それぞれに趣向を凝らしたデザインもいいが、一番フォトジェニックなのは大正時代の車両を復刻した「箱館ハイカラ號」だろう。運行スケジュールが限られていてめったに見られないけれど、出会えたらきっといい旅の思い出になること間違いなしだ。