Work 2012
東京都品川区東品川2-2-35 東横INN品川港南口天王洲アイル
ビジネスホテルの前に、巨大なくずかごのオブジェが展示してある。直島の自然の中で同じシリーズの作品を見たときにはリアルなくずかごにしか見えなかったけれど、猥雑な都会の片隅で見るとアートっぽい。
地下鉄サリン事件(1995)のあと、日本中の街角からごみ箱が消えた。ゴミが捨てられないならゴミを出さないようにしようと思うのだが、ペットボトルや缶の飲料、お菓子の個包装、様々な使い捨て製品など、ゴミになる要素はどんどん増えている。
そういう状況を経験している街中でこそ、この作品は訴える力を発揮する。
かごの中のゴミは本物ではなく陶器でできている。陶器なので、不要であっても朽ちることなくゴミはどんどん増え続ける。
再現されているのは酒やたばこなどの段ボール製のカートンだ。直島の作品では広告ビラや新聞のゴミがかごに入っていた。資源としての紙と共に、印刷された情報もゴミになっていく。情報過多の現代社会の状況がそこに現れている。
ここでは、たとえば、最近スタバがプラスチック製ストローの全廃を発表して話題になった廃プラスチック問題やゴミの再資源化問題などは範囲外のように見える。作者の意図はゴミ問題とは違うところにあるのかもしれない。
そこに若干の違和感は感じるけれど、作者の予期しない鑑賞者の思いも含めて成り立つのがアートなんだと思う。