北海道庁旧本庁舎
北海道札幌市中央区北3条西6-5
北海道観光をしていると、日本離れした雄大な自然や港町の洋館などの風景が昔は新鮮で楽しかったけれど、今は何となく落ち着かない気分になる。なぜだろうと考えて、古い神社仏閣や茅葺き屋根の家、道ばたのお地蔵さんなど、昔話にあるような風景が(少なくとも観光ルートには)見当たらないことに気が付いた。米作の難しい北国だから、私たちが見慣れた田んぼのある風景も少ない。
北海道は、元は蝦夷地と言ってアイヌの人たちが暮らしていた土地だ。われわれとは異なる文化が育まれてきた歴史があるから、残されているものも違ってくる。
明治2年(1869)に開拓使が置かれ、「蝦夷地」は「北海道」になった。今われわれが見ている風景のほとんどは、人手の加わっていない自然景観を除き、この開拓以降に作られたものなのだ。
明治21年(1888)に建てられた旧北海道庁の正面には、「五稜星(五光星)」と呼ばれる赤い星印が輝いている。札幌時計台やサッポロビールのラベルなどにもみられるこの星は、開拓使のシンボルマークとされている。
新しい土地に新しい文化を切り拓いていく希望の星、なのだろうけれど、古い文化はどこに行ってしまったんだろう。年を取ると、そういう方面にも思いがめぐって複雑な気分になる。