海運倉庫
北海道小樽市手宮1-3-6
小樽を訪れた観光客の多くは、運河南端の浅草橋で写真を撮ると、運河そのものにはあまり興味を示さず、踵を返して土産物屋やカフェが並ぶ堺町通りへと繰り出していく。運河沿いの散策路ですれ違うのは、犬の散歩に訪れた地元の方ばかりだ。
その運河沿いには古い石造りの倉庫が軒を連ねている。
洋館の多い小樽にあって、明らかに洋風な北のウォール街の銀行建築や、趣のある堺町通の商家などに比べると、地味で武骨な倉庫を洋館と呼ぶのは気が引けるような気もするが、かと言って和風でもない外観からは、和洋折衷な異国情緒が感じられる。
運河北端の運河公園に面して建つ旧日本郵船株式会社小樽支店は、その中でも本格的な洋風建築として国の重要文化財に指定されている。他の主要都市でも見ることのできない立派な建物には、小樽の、ひいては日本の近代化を支えてきた自負が込められているように見えた。
たとえ訪れる人が少なかったとしても、老兵たちは昔日の誇りを胸に今も立ち続けている。