北のウォール街
北海道小樽市色内1丁目
下見板張りの洋館や教会建築が特徴的な函館と並んで、小樽でもたくさんの洋館、洋風建築を見ることができる。函館とはまた趣の異なった建物が多いなかでも、特徴的なのは重々しい石造りの元は銀行だった建物群だ。
明治から大正時代にかけて、石炭や海産物などの積出港として栄えた小樽には、多くの銀行や商事会社が支店を構え、北海道経済の中心地となっていた。銀行が集中していた色内大通り周辺は、ニューヨークの金融街になぞらえて「北のウォール街」と呼ばれていたそうだ。
やがて石炭産業が斜陽になり、海運中心だった物流の形態も変わって、金融の中心地は札幌へと移っていく。現在、小樽に残る北海道外資本の銀行の支店は北陸銀行だけになってしまった。
石造りの建物は壊されることもなく、今もテナントを変えて堂々と小樽の街に君臨している。その姿は、ローマ帝国時代の遺跡やルネサンス時代の建物が今も残り、その栄華の記憶の中で暮らすヨーロッパの都市の景観に似ている気がした。
旧日本銀行 | 旧北海道銀行 | 旧第一銀行
旧安田銀行 | 旧第四十七銀行 | 旧三井銀行 | 旧北海道拓殖銀行 | 旧三菱銀行 | 旧百十三銀行