Work 2000-Memory of 20th century 20世紀の記憶
東京都大田区城南島2-4-10 ART FACTORY 城南島
われわれの暮らす今の時代が、遠い将来、遺跡として発掘されたとき、一体何が掘り出されるのだろうか。その遺跡から、未来の学者はわれわれの今を読み取ることはできるのだろうか。
わたしの人生の中で何度も何度も繰り返される疑問。自分の業績を石碑や銅像にして残そうとは思わないけれど、私たちが暮らしたこの時間、時代は後世の人たちにも知っていてほしい。謎の文明、空白の歴史にはなりたくない。
三島喜美代の「20世紀の記憶」は、25mプールより少し小さいぐらいの空間(20×11m)に9,000ピースの廃煉瓦を敷き詰めた作品だ。煉瓦の表面には20世紀100年間の新聞記事が転写されている。表が日本の新聞、裏が海外の新聞になっているらしいのだが、さすがに煉瓦を裏返してみることは憚られた。
もちろん、これだけで20世紀を網羅しているはずはないが、それでもこの物量には圧倒される。戦争があったり、オリンピックがあったり、良いこと、悪いこと、忘れられていることもたくさんあるけれど、そこに生きてきた人たちの人生や、起こった出来事を無かったことにはできない。そのことに想いを馳せる。
もちろん、われわれの時代の遺跡はこんな形にはならない。未来人は再生できないビデオテープや読取れない磁気ディスクを前に途方に暮れるかもしれないし、もしかしたら核戦争で遺跡すらも残らない形に破壊されてしまうかもしれない。それでも、もしかしたらこの作品だけは残って、未来に20世紀を伝えてくれるということはないかなと、少しだけ願ってみる。