2018年10月13日(土)

Newspaper 08 / Work 92-N

東京都大田区城南島2-4-10 ART FACTORY 城南島

Newspaper 08

真っ暗な倉庫の中に古新聞の束が積まれている。その間を行く道は何度も曲がり、分岐して、時に袋小路に迷い込んで戻らされる。重なった新聞の断面から、その記事を読むことはできない。(Newspaper 08、1997-2008)

Work 92-N

洪水のように情報があふれる現代社会。「アーカイブ」と称して、その情報を蓄積し、再利用しようとする試みも行われているけれど、ほとんどの情報は死蔵されて日の目を見ることはないのではないか。情報の墓場のような状況の中で迷い、感じる不安。

日々、漠然と感じてはいたけれどそれが何だったのかわからなかった不安の実像をここで見つけたような気がした。

暗闇を抜けると、目の前に大きな新聞紙の束が積まれていた。新聞の間に雑誌らしきものが挟まっていて、背表紙に「OHARA MUSEUM OF ART」と書かれている(Work 92-N、1990-92)。

あ、そういえば先日、倉敷の大原美術館で同じシリーズの作品を見た、と気づいたが、あの時には「ふ〜ん」ぐらいにしか思わなかった。それが、今はとっても心に刺さる。それは展示の仕方による効果なのか、わたしの心境の変化なのか。

また、別のところで三島喜美代の作品に出会ったら、その時わたしはなにを感じるのだろうか。