六 角 堂
京都府京都市中京区東洞院西入堂之前町248 六角通
お寺の門前に見事な生け花が飾られている。その花を横目に、明らかに観光客とは違う、主に女性ばかりの集団が門のなかへ吸い込まれていく。どうやら、生け花関係のイベントが開かれているらしい。
事情を知らずに、境内にあったへそ石の写真だけ撮って帰って来たのだが、ここは生け花発祥の地であるらしい。
昔は仏花として仏さまに供える物だった花を、当寺の住職が客人のもてなしや日常の生活の中でも花を生けるという華道をはじめ、室町時代に花伝書を著して「いけばな」を確立させたのだという。
境内の奥に池があり、池のほとりにある坊(寺院の建物)からその名がついたのが華道家元の「池坊」だ。
そうとも知らずに訪れた六角堂だが、わたしには通りの名前としての六角の方が印象が強い。昔覚えた京都の通りの名前を覚える歌の一節「あねさんろっかくたこにしき」(姉小路通り、三条通り、六角通り、蛸薬師通り、錦小路通り)の不思議な語感。タコの柄が描かれた六角形の角隠しを被った花嫁姿の姉さんの姿が脳裏に浮かぶ。