2019年2月7日(木)

鹿猪之供養塔

神奈川県足柄上郡松田町寄3141

鹿猪之供養塔

今年の干支は十二支最後の亥、イノシシだ。今まで何の疑問にも思っていなかったけれど、亥年をイノシシ年というのは日本だけで、中国をはじめとするアジアの各国ではブタ年とされているそうだ。

中津川

昔の日本では、猪肉は「山くじら」や「ぼたん」などと呼ばれて、豚よりもなじみが深かった。同じような理由で、未(羊)に山羊、丑(牛)に水牛が当てられている国もある。

寄(やどりき)集落の片隅に、鹿猪の供養塔が建っていた。碑文の両脇に「昭和五十二年三月一日」「尾崎グループ」と書かれている。まだ、食用に狩られていた時代に狩猟愛好グループが建てたものだろうか。

近年では、農作物などを荒らす害獣として駆除される対象となり、その数もこの碑が建てられた当時とは比べ物にならないほど増えているようだ。神奈川県の統計(※)によれば、平成15年(2003)の猪捕獲数は狩猟317・有害捕獲(駆除)316だったが、平成28年(2016)には狩猟296・有害捕獲2,307となっている。

この碑は、イノシシ(及びシカ)と里人が助け合って共存してきた、かつての蜜月の時代の記念碑と言えるかもしれない。

ちなみに干支の話に戻ると、タイなどでは卯(兎)が猫年になっているそうだ。ネズミが猫に嘘をついて猫が十二支に入れなかったという昔話は、世界共通ではないということだね。

※ 「神奈川県イノシシ管理計画」(平成30年10月策定)より