2019年1月18日(金)

旧名栗郵便局

埼玉県飯能市下名栗342

レリーフ

山里には茅葺き屋根の民家が似合う、と勝手なイメージを抱いていた。瓦屋根でも構わないが、いずれにしても和風の建物だ。

旧名栗郵便局

だから奥武蔵の山間の町・名栗を走っていて、突然目の前に現れた洋風建築には驚いた。入り口上部には一行一文字の縦書き(つまり逆向きの横書き)で「名栗郵便局」と書かれ、花札の絵柄のような郵便マークが正面を飾っている。

福島の旧丸森郵便局を見た時にも同じようなことを感じたが、思い返してみれば今も現役の上恩方郵便局や払沢の滝近くに移築されてお土産物屋さんになっている旧檜原郵便局など、都会ではないところに残るレトロな洋館郵便局は珍しくない。

日本の近代化とともに全国津々浦々に配置された郵便局は、当時の最先端技術で建てられることで新時代の到来を象徴する存在となった。今までに見たこともない洋風のデザインを見て、人々は、時代は変わっていくのだと感じたことだろう。

昭和4年(1929)の建設で、特に文化財の指定は受けていないようだ。建物の隅に描かれた鳳凰や錫杖(あるいはサーベル?)と思われるレリーフが素晴らしい。