2019年2月27日(水)

曽我兄弟の墓

神奈川県小田原市曽我谷津592 城前寺

墓所

「有名な曽我兄弟の仇討ち」と言われても、現代の我々にはよくわからない。日本三大仇討ちの一つとも言われているが、よく知られている忠臣蔵(赤穂浪士の討入り)はともかく、もう一つの伊賀越の仇討ち(鍵屋の辻の決闘)って何だ?

碑

歌舞伎や講談が多くの人に親しまれていた時代には有名だったお話も、時と共に忘れられていく。城前寺にある曽我兄弟の墓所の前には、様々な人たちが建てた記念碑が並び、かつては物語ゆかりの地として多くの人が訪れたと思われるが、今日は私一人。しばらく滞在していても、誰も訪ねてこない。

時は移ろい、人の心も変わっていく。われわれの親世代の心を奪った「君の名は」(真知子と春樹)(NHKラジオドラマ、1952-1954)は遠い昔。今の若者は全く別の「君の名は。」(瀧と三葉)(アニメーション映画、2016、新海誠監督)を観て聖地巡礼に訪れる。そしてまたそれもいつか忘れられていくのか。

時代劇(例えば水戸黄門とか)では、旅先で出会った若い女性が親の仇を追っていると聞いて助太刀する話があったりするが、実際の仇討は財産や女の奪い合いなどが原因で殺しあうという、あまり聞こえの良くない内容が多い。美化された物語を聞いて勘違いしがちだが、同じ話が現代の事件として報道されたら誰もが顔をしかめて非難すること間違いなしだ。

それを言ったら元も子もないけれど、曽我兄弟が現代も名声を保ち続けるのは難しいんだろうな。

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