2019年3月18日(月)

生樹の御門

愛媛県今治市大三島町宮浦3327 大山祇神社奥の院

生樹の御門

「この先に凄くイイところがありますよ。」

すれ違った若い女性二人組のうちの一人が教えてくれた。見ず知らずの人にそんなこと、わざわざ教えなくてもいいのに、という顔でもう一人は苦笑いをしている。

楠

道は一本道だから、わたしもそこを目指していることはわかっているはずなのに言わないではいられない。そんな彼女の感動が伝わってくる。

はたして姿を現した大楠は、豊かに葉を茂らせた枝を大きく広げ、樹齢3000年(?)とは思えない力強さを天に誇示して立っていた。

その足元に門のように開いた空洞に向って石段が続いている。門とは言っても、とても立ってはくぐれない。身をかがめ、這うようにして向こう側に抜けると、産道を抜けた赤ん坊になったような気がした。

古木には何か強い力が宿っているような気がして、その幹に抱きついてみたりするものだが、その中に入るという体験は神秘的だ。永い時を生き抜いてきた強い生命力を全身に浴びて生まれ変わるような気分になる。

ここは大山祇神社奥の院の参道に当り、この門をくぐってお参りすることから生樹の御門(いききのごもん)という名がついた。つまりこの先があるのだが、うっかり、もうここで十分と思って引き返してしまった。それほどに神々しい、迫力のある姿だった。

天然記念物の説明板