むじな燈籠
長野県長野市大字長野元善町491 善光寺境内
善光寺の参道で、見覚えのあるお顔のお地蔵さんに出会った。府中の童々広場や呉の美術館通りを走っていた童子たちとそっくり。10年ほど前に「気持ち悪い」「きもカワイイ」と悪評・好評喧々諤々の騒ぎを起こした奈良県のマスコットキャラクター「せんとくん」と同じ籔内佐斗司の作になるむじな地蔵だ。
昔々、善光寺参りに訪れたむじなに代わって宿坊の住職が寄進した燈籠が、「むじな燈籠」として今も境内に建っている。この故事にちなんでつくられ、縁の宿坊・白蓮坊の門前で道行く人を見守っている。
くだんの燈籠には寄進者として「下總国葛飾郡冬木村 願主到譽岸●」「寛保三癸亥歳十一月中旬 願主白蓮坊」(寛保三年は1743年)と彫られているとされているのだが、現地で見たわたしには後者が「預主白蓮坊」と読めるような気がする。むじなの気持ちを預かって代わりに建てた、ということだと思いたい。
わたしの好きなジブリ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」には、人間に化けて人間社会で暮らす狸たちが登場する。化けるだけでも大変なのに、人間社会で暮らしていくには相当のエネルギーが必要だ。時に気を抜いてタヌキの姿に戻ってしまう場面が映画の中にも描かれている。
お風呂に入って正体を明かしてしまったむじなも、いろいろ苦労してやっと善光寺にお参りできて、ほっとしちゃったんだろうね。なんかそういう失敗って、自分にもある気がするなぁ。