相模川自然の村公園
神奈川県相模原市緑区大島3853-8
茅葺き屋根の家には住んだことも、住んでいる知り合いを訪ねたこともないけれど、何となく懐かしい気がして散歩先にあれば寄ってしまう。その原点は、たぶん中学生の頃に訪ねた生田の日本民家園だと思う。
調布の自宅から見て多摩川の川向うにある生田緑地は、プチ旅行気分で自転車を走らせるにはちょうど良かった。そこにはお小遣いで見られるプラネタリウムがあり、D51(SL)の保存車両があり、日本中の民家を集めた日本民家園があった。満天の星空もSLも茅葺き屋根の家も、当時は(そして今も)絵本でしか見られなかった未経験の景色を見て遠い世界に旅をしたような気分になっていたのだ。
相模川自然の村公園は、キャンプ場と水遊びのできるせせらぎがあるほかは強いて訪れることも無いような公園だが、神奈川県の重要文化財に指定された古民家があるというので立寄ってみた。
今年の3月に葺き替えたばかりの茅葺き屋根がピカピカすぎる気はしたけれど、煤けた梁や黴臭いような三和土の匂いなど、経験したことはないのになぜか懐かしいような雰囲気は予想通り。縁側に座ってぼんやりすると心が和む。
田舎(地方のふるさと)がない東京生まれのわたしは、時々、こうして帰郷の疑似体験をしている。