菖 蒲 田
神奈川県相模原市緑区下九沢2368-1 相模原北公園
菖蒲園につきものなのが八つ橋。伊勢物語に書かれた在原業平の話やそれにちなんだ花札の絵柄にあるとおり、本来は八つ橋とセットなのは杜若（カキツバタ）なんだけど、わざわざそんなことを言う人はいないよね。「いずれ菖蒲か杜若」と言われるように、一般の人はどっちも同じようなモンと思っているからね。
木の橋を架けないで、菖蒲田の間を仕切る畦道を八つ橋に見立てることもある。いずれにしても、たくさんの花の中に入って、橋（または畔）の両側に身近にその姿を見るのは楽しい。
ところが、相模原北公園の菖蒲田には八つ橋がない。それどころか、菖蒲田の周りは竹垣で囲われていて中に入ることはもちろん近しく花に寄って愛でることもままならない。ここでは回遊して花を楽しむのではなく、ベンチに座って鑑賞するのが流儀であるらしい。
高低差のあるアジサイ園やバラの花壇をぐるぐる回って、最後にここに来るとホッとする。一息入れて帰り道の鋭気を養いたいところだけど、皆さん思うところは同じようで、それほど数の無いベンチは残念ながら一杯だった。