2019年7月24日(水)

新宿の目

東京都新宿区西新宿1-7-2 スバルビル

新宿の目

先日(2019年6月4日)何者かによって「新宿の目」(宮下芳子、1969)が傷付けられたというニュースを聞いて、懐かしい風景の記憶がよみがえってきた。

社会人になって就職した会社の本社が、西新宿の新宿住友ビル(三角ビル)にあった。実際に働いた職場は点々としたけれど、本社には何度も行く機会があったし、本社やその周辺のビルが勤務先になったこともあった。

新宿駅の各線の改札を出た人たちが、別の線に乗り換えたりデパートに吸い込まれたり右往左往ぐちゃぐちゃに入り乱れた中から一筋、西新宿のいわゆる副都心方面に行く流れができる。その流れをとば口でじっと見つめる目。地下道の薄暗さも手伝って、異界の入口でわれわれを監視しているもののけのような怪しい雰囲気も漂っている。

とはいえほとんどの場合、その存在を意識することもなくその前を通り過ぎていたなぁ。ニュースでは、夜にはライトがつき待合せの名所になっていたように伝えられていたけれど、その前に立っている人も光っているところも見た記憶がない。

しばらく新宿方面にはご無沙汰だったのだが、知らぬ間にスバルビルは解体され、新宿の目もその去就が危ぶまれていたらしい。駅前のコンコースでは柱に貼ってあったポスターが、すべて液晶画面に切り替わっていた。

この目も破損を機に撤去されて液晶画面のポスターに替えられてしまうのだろうか。世の中が明るくなり、闇に潜んでいた幽霊や妖怪たちの居場所がなくなったと言われて久しい。今はまだ薄暗い地下道の片隅で、この目もその居場所を奪われようとしているのか。