切 串 港
広島県江田島市江田島町切串3-1-1
船に乗ると、必ず甲板に出てしまう。港に着くとき、港を出るとき、甲板から港を眺めて旅の始まりに胸を高鳴らせたり、旅の終わりをしみじみと振り返ったりするのが倣いになっている。
江田島(切串)から広島(宇品)へ帰るフェリーで、そんなことをしているのはわたししかいない。瀬戸内海で船に乗ることは、東京でバスに乗るぐらい普通のことなので、いちいち感傷的になることはないのだ。
わたしも何回かフェリーを利用して、以前よりは多少スペシャル感が薄れてはいるものの、まだまだ船に乗ればワクワクそわそわしてしまう。
今回のかきしま海道の旅は、後半雨に降られてしまったので心残りが多い。もう少し走りたかったな、もう一度来たいな。そんな私の後ろ髪が白い航跡となって、フェリーの後ろに長く長く伸びていた。